熟年離婚は年々増加傾向にあるといいます。熟年離婚は、なぜこれほどまで増加しているのでしょうか?
そこで本記事では、熟年離婚が多いのはなぜなのかについて考察・解説をしています。
熟年離婚が増えている理由には、高齢化社会が真っ先に挙げられます。
結婚年齢が上がり、婚姻歴が長くなるとおのずと熟年離婚件数も多くなるためです。
しかし、そのほかにも理由はいくつかあります。その代表的なものが「女性の社会的地位の向上」です。
1.自立して生きていける女性が増えた
ひと昔前には、女性が離婚してひとり身で生きていくことは容易ではありませんでした。
女性が自立して生きていくという価値観も今より浸透していなかったことでしょう。
夫と離婚したいと心の中では思っていても、実際に離婚に踏み切る方は、今よりずっと少なかったことが想像できます。
2.離婚後に再就職できるチャンスが増えた
長期間社会から離れた女性が再就職をはたすことは、ひと昔前には容易ではありませんでした。
しかし、長年の雇用形態の変化の中で、社会から一定期間距離を置いた人であっても再就職がしやすい環境が整いつつあります。
熟年離婚を経た後でも再就職を果たし、1人で生計を立てていけるという方が増えたことでしょう。
こちらも、熟年離婚が増えている要因のひとつと言えそうです。
3.離婚が社会的ハンデではなくなった
今や離婚は珍しくありません。
以前は離婚歴があると、何かしらの問題があるのではないか…という偏見の目で見られることも少なくありませんでした。
多様性を重んじる潮流にある現代社会では、女性が離婚していたとしても社会的にハンデになることはあまりなく、熟年離婚へと踏み切りやすい環境になっています。
世間体的な要因だけでなく、金銭的な面を見て見ても、熟年離婚の多さと関連している要因が多いことと思います。
特に年金分割制度はその最たる例でしょう。
1.老後の心配をしなくてよくなった
2007年に年金分割制度というものが出来て以来、離婚をした夫婦であっても、老後の年金が分割されるようになりました。
それ以前は根が年専業主婦の妻が貰える年金は国民年金のみでしたが、夫の厚生年金がもらえるようになったのです。
その結果、熟年離婚後の生活の見通しを立てられる方が多くなり、熟年離婚件数の増加に拍車がかかりました。
2.退職金の財産分与をあてにするケースも
婚姻期間中に築かれた退職金は離婚時の財産分与が適用されます。
そのため、退職するのを待ち、退職金をいくらかもらった上で熟年離婚をするというケースも少なくありません。
現実的な面とは異なる方面で考えてみれば、そもそも「熟年離婚」という行為の認知度が上がったことも、熟年離婚の増加の後押しをしていると考えられます。
熟年離婚という言葉は2000年代に放映されたテレビドラマがきっかけで世の中に広く認知されるようになりました。
テレビドラマが放映された年には熟年離婚という言葉が流行語大賞にノミネートされたほどです。
また、そのドラマが人気だったということもあり、熟年離婚を肯定的にとらえ、現実に熟年離婚に踏み切る決断をされた方も増えたのだと考えられます。
熟年離婚が多い原因としては、女性の社会進出や地位の向上、年金分割制度、熟年離婚という価値観の浸透などが挙げられます。
さまざまな要因があるものの、現状を広い目で見てみると、今後熟年離婚が著しく減少するとは考えにくいのではないでしょうか。
熟年離婚は遠いところの話ではなく、自分たちの身にも起こりうる身近なお話になりつつあります。
決して他人事とは思わず、熟年離婚に対する最低限の知識は持っておくことをおすすめします。